水中探求家

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【世界初】常陸丸への有人カメラ撮影ダイビングに成功!水深80mのテクニカルダイビングレポート

はじめに

日露戦争で沈没した歴史的沈没船「常陸丸」への世界初有人撮影ダイビングが、2025年7月に成功しました。福岡県奈多海岸を拠点とするJOINT Corporation主催のもと、水深80mの深海に眠る常陸丸に、テクニカルダイビング技術を駆使してダイバーが到達。これまで水中ドローンでの撮影は行われていましたが、ダイバーが直接カメラを持参しての撮影は世界初の快挙です。本記事では、このテクニカルダイビングプロジェクトの全貌と、常陸丸の歴史的価値について詳しく解説します。※今回、私はこのプロジェクトのサポートメンバーとして帯同いたしました。

常陸丸とは

常陸丸は、明治時代に日本郵船が所有していた貨客船です。全長約125メートル、総トン数約6,172トンという当時としては大型の船で、主に日本とヨーロッパを結ぶ航路で貨物や乗客の輸送に従事していました。その堅牢な造りと速力は高く評価されていました。

Wikipedia 常陸丸事件


不明 - 山高五郎(著)『図説 日の丸船隊史話』p.102, パブリック・ドメイン, リンクによる

日露戦争における悲劇

常陸丸の名が歴史に深く刻まれることになったのは、1904年に勃発した日露戦争での出来事です。

1904年6月15日、常陸丸は陸軍部隊約1,200名と多量の兵器、多額の軍用金などを積んで、広島の宇品港から朝鮮半島へ向けて航行していました。しかし、その途上、玄界灘(げんかいなだ)沖でロシア帝国海軍ウラジオストク巡洋艦隊(司令官:カール・イェッセン少将)に捕捉されます。

ロシア艦隊は常陸丸に対し停船を命じましたが、常陸丸はこれを拒否し逃走を図りました。しかし、ロシア艦隊からの集中砲火を受け、船体は炎上し大破。多くの乗員・乗客が犠牲となり、常陸丸は沈没しました。この事件は「常陸丸事件」として知られ、日本に大きな衝撃を与えました。

テクニカルダイビングによるチャレンジ

水深80mの挑戦

水深80mという深度は、レクリエーショナルダイビングの限界を大きく超える領域です。この深度でのダイビングには以下の専門技術が必要不可欠です:

必要な装備と技術:

トライミックス使用: 通常の空気では窒素酔いと酸素中毒のリスクが高いため、ヘリウムを混合したトライミックスガスを使用

自立したテクニカルダイバーとして、ガスの充填・ブレンディングスキルも必要となります。

TDI ADVANCED GAS BLENDER

テクニカルダイビング認定: 深度潜水とガス管理の高度な技術

減圧停止の綿密な計画: 長時間の段階的浮上が必要

ガス管理とトライミックス

今回の潜水では、安全性を最優先に以下のガス構成を採用:

ボトムガス: ヘリウム混合のトライミックス

減圧ガス: 段階的な減圧停止用のナイトロックス

緊急時予備ガス: 万一に備えた追加ガス供給

※今回、私はここのサポートとして帯同しました。

撮影の成果と意義

世界初の有人撮影

技術的ブレイクスルー:

  • 人間の目線での詳細な観察と記録
  • 水中ドローンでは不可能な角度からの撮影

写真は、清水淳さんから拝借しました。

歴史的価値の記録

常陸丸の現在の状態を記録することで、以下の価値を提供:

  • 戦争遺跡の保存状況の詳細な記録
  • 海洋考古学への貢献
  • 未来世代への歴史継承

安全対策と準備

事前準備

ガス生成

気象・海象条件の詳細確認

緊急時対応計画の策定

安全管理

多段階の安全チェック

バディシステムの徹底

減圧停止の厳格な遵守

予備装備の完備

まとめ

常陸丸への世界初有人撮影ダイビングは、水深80mのテクニカルダイビング技術と歴史保存を両立させた画期的なプロジェクトとなりました。JOINT Corporationの高度な技術と徹底した安全管理により、120年の時を経た歴史的沈没船の貴重な映像記録に成功しています。

このテクニカルダイビングの成果は、海洋考古学の発展と戦争遺跡の保存に大きく貢献するものです。常陸丸ダイビングは、日本のテクニカルダイビング界における新たなマイルストーンとして、今後の探査技術の発展に寄与することでしょう。

テクニカルダイビングに興味をお持ちの方は、必ず適切な訓練と認定を受けた上で、安全第一でチャレンジしてください。

潜水データ

  • 最大水深: 77m
  • 使用ガス: トライミックス
  • 総潜水時間: 116分
  • 主催: JOINT Corporation(福岡県)

注意事項 テクニカルダイビングは高度な技術と十分な訓練が必要です。必ず認定を受けた指導者のもとで段階的にスキルを習得してください。

追記

翌日7月18日には、NHK NEWS WEBにも放映されました。

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